12・3 埼玉で講演『会社に殺されず、生き残るために』
2時間の講演は非常に盛りだくさんだったので全てを紹介することはできないが、私が特に心に留めたのは以下の点。
- 自由主義の社会では、人生を自由に設計してよく、また社会も自由に設計して良い。
- 資本主義の社会では、仕事を自由に企画して商売してよい。
- 起業は自立・自治の精神を育てる。
- 公教育では進学・就職のしくみに載ることの指導ばかりで起業家を育てられない。
- 右肩あがりが終わっても昔の競争のしくみを変えられない会社は多い。
- そんな会社に殺されないために、自分で仕事を作って稼ぐ起業スキルを養おう。
長時間労働や過労死の問題が表すように、高度成長期以降に私たちが信じてきた「勉強するほど、働くほど幸せになる」という処世訓は、もはや幻想に過ぎない。
会社では基本的に与えられた仕事をするものだ。仕事の企画・創造があったとしても、その会社に許された枠内での企画であり創造である。時にやりたくない仕事もあるし、自分にも社会的にも無意味に思える仕事もある。それでもやらなければならない。長時間労働、ストレスフルな労働を通じて、決められた給料をもらう。それが現在の日本で「会社で働く」ということだ。だが、自分の身の丈にあった仕事を企画して作って行けるなら、そのしくみに載らずに済む。
今さんは、起業を社会デザインへとつなげて語る。学歴による階層分け(高学歴インテリ文化・低学歴ヤンキー文化)が進んだこの社会には、そのしくみ自体が生み出した様々な問題がある。例えば、貧困、いじめ、児童虐待、差別などだ。エスタブリッシュメントたちは、階層分けのしくみに乗ってうまく生きてきたわけで、しくみ自体を決して疑わない。自分たちがうまく生きてきたことによって、彼らの苦しみを生み出してた事実にも、気付きようがない。だから、今までも解決しなかったし、これからも永久に解決に至らない。
そこで、「社会のしくみ」に起因する様々な困りごとを解決するサービスの企画だ。それで起業するのだ。困っている当事者や傍で寄り添う人にこそ、その問題の本質がよく見える。理屈ではなく、身体性を持って把握できる。だから、困っている本人にこそ、適切なサービスを見出すことができる。あとは仕事として企画するノウハウだけだ。彼らこそが社会のしくみを変えられるのだ。
今さんの話は、いわゆるコミュニティビジネスとか社会起業家といった話だろう。これらについては、10年前にNPOで働いていた時にもよく聴いていた。しかし、なんだか雲を摑むような概念的な話が多くて、頭では理解できても、何か腑に落ちてはこななかった。今さんの話は、実際にいろんな人に取材してのことで、地に足がついている感じがする。文字通り腑に落ちてきた話だった。
まあ聴いて他にも色々考えたことはあるのだが、私なりに紹介するとすればこんな感じだろうか。正確なところは著書で確認していただきたい。私も起業には興味関心が湧いてきたし、今後の自分の人生設計にも活かしていきたいと思っている。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。