数値で見る限りでも、思ったより酷くなっている。「全国の児童相談件数の推移」(平成28年8月4日、厚生労働省)によると、児童虐待の相談件数はこの20年間で100倍にもなっていた。平成27年度には10万件を超えている。
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子供が虐待死する深刻なケースは、平成25年に69件。5日に1人のペースで子供が虐待によって死んでいることになる。平成19年は最悪で、なんと142人の子供が虐待で死んだ。2〜3日に1人の割合である。
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啓発や法整備により、社会的認知が広まったことによって相談・報告が増えたことも事実で、これについては大きな成果である。しかし、一方で対応が追いつけないということも想像できる。例えば、10年くらい前、茨城県職員に話を聞いたときは、児相1人あたりの担当数は40件以上とのことだった。あれから10年。「茨城県における児童虐待の状況」(平成27年4月1日、茨城県)を見ると、相談件数は約2倍になっている。件数増加に応じて対応能力を強化してはいるのだろうが、県の財政状況からみて十分な人的資源を手当できているとは思えない。
それに捕捉率が高まったとはいえ、これらの数値はあくまでも「相談件数」「報告件数」である。つまり、「最低でもこれだけある」ということだ。また厚労省が定義する児童虐待は、①身体的虐待、②ネグレクト、③性的虐待、④心理的虐待の4類型だけである。経済的虐待(子供からの経済的搾取)や、文化的虐待(極端な政治思想、信仰の強制で子供を社会的な孤立に追いやること。)はカウントされない。実数はわからないのだ。
繰り返すが、捕捉率が上がったことは成果であろう。標語的あるいは類型的な啓発には意味があった。しかし、せっかく捕捉しても対応できなければ、意味は薄れてしまう。報道されるような深刻な児童虐待のケースでは、「児相にも相談したのに」という声を聴くことが少なくない。端的に対応不足の現状を表す言葉だろう。捕捉したケース個別に十分な対応をするための体制づくりが課題であると言える。同時に、現在の捕捉率に満足しないで、限りなく100%に近づけることも必要である。
そのためにはどうしたらいいのか。簡単にはいかない話だが、『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)は、その大きなきっかけになると思う。当事者が痛みを綴るこの本は、児童虐待の被虐待者についてのより実情的・内面的な理解を社会に広めるだろう。
そういうわけで、私も『新編 日本一醜い親への手紙(仮題)』を応援しています。是非とも出版にご協力を。
■ 新編『日本一醜い親への手紙』(仮題) 企画・編集 今一生
ご希望の方は、以下のリンクを伝って今さんに直接コンタクトしてください。わからなければ私がナビします。ツイッターで @haironeko に投稿して聞いてください。
■虐待された方から「親への手紙」を 公募中!
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今一生のブログ
■子どもを守る文化を作れるのは、企業経営者だけ
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