偽装請負とは、契約上は請負だが実態は派遣である労働様態のこと。
具体的には数例あるようだが、設備管理職の場合で考えてみる。本来、請負の場合は、発注者は請負先の設備員に直接指揮命令できない。会社として発注者の依頼を受けて、それを判断して労働者に指令を出すのがスジである。しかし、請負現場に発注会社の人が一緒にいて、常時その人の直接指揮命令で動くよう場合は、事実上の派遣である。それが偽装請負だ。ひどい場合は、指揮命令を受けるだけでなく、発注会社の制服を着て、はたから見れば発注会社の設備員として勤務する。その際には、制服を着て外に出るなとか、勤務容態の事実を外部に漏らすなと言い含められるようだ。
発注元と下請け会社でなぜこのような手の込んだことをするのかというと、発注元にいくつかのメリットがあるからのようだ。私も労働問題の専門家ではないのであまりよくわからないが、知ってる範囲で想像すると、例えば派遣の場合は派遣先企業に労務管理責任があるが、請負では労務管理の責任は無いというところ。直接指揮命令をして労働をさせたのだから、それによって労災となるような事故が起きた場合は、発注者に責任が発生する。だが、派遣ではなく請負契約にしておけば法的にそれを回避できる。
とはいえ、日本の労働基準監督所は甘い機関ではない。実際に指揮命令関係があるのであれば、請負契約であろうが「事実上の派遣」と見なされる。しかし、事故の当該労働者が、派遣と請負の違いを知らなければ、命令者である発注者に責任を問えることも知らず、提訴などのアクションを起こさないかもしれない。
ハローワークでは求人票の原本の写しを参照できる。茨城県内での設備管理職の募集は結構あるが、就業場所を明示していない設備管理の求人が結構ある。電算センターなどのクリティカルな現場は、セキュリティ上秘匿した方が良いというのはわかるが、雑居ビルなどどう考えてもとくに秘匿する必要のない現場でも「就業場所は問い合わせ時におしらせします」という場合がある。この場合はほとんど「偽装請負」であると考えて良い。特に官庁自治体の建物であれば確定だろう。官庁自治体の建物設備管理の請負契約は、ほぼ100%一般入札で公開である。請負情報も公開されているわけで、落札した会社ならそれを秘匿する必要も意味も皆無である。なのに秘匿しているというのは、何か公開できない理由があるのだ。その理由の1例が偽装請負なのであろう。
現在茨城県内で就活中の皆さん、面接時に現場の話をよーく聞いてください。偽装請負でも何か労災事故が起きた場合は、出るとこに出れば発注会社の人に責任を問えます。それもよく覚えておいてください。
参考:あなたの使用者はだれですか? 偽装請負ってナニ?(東京都労働局)
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/roudousha_haken/001.html
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